岡部わたる

 

 何事に拠らずフラットな姿勢というのか、彼のそういうたたずまいのようなものが俺はとても好きだった。もちろんプレーにおいても。いつだったか、何かとコンプレックスのある俺に、上手いでも下手でもなく「アンツは下手じゃないよなあ」と言ってくれたことがちょうどいい褒め言葉で、これが妙に嬉しかったことを覚えている。

 

 ガイアコテカという大人数のバンドで彼とは共演したし、俺がいた中島らも & Mother's Boysの二代目ドラマーが彼だった。決して共演歴は多いとは言えないけれど、いろんな意味で怒涛だった中島らも & Mother's Boysのライブと、あのレジェンダリーな2004年の中島らも追悼ライブを一緒に駆け抜けた戦友として、俺と彼の間にはきっとなんらかの絆があるものと勝手に思っていた。

 

 写真は2年半ほど前にその中島らも没後10年のイベントでMother's Boysを再結成した時のもの。「またやろうぜ」と言って別れたのが最後になるとは思いもよらなかった。

 

 

 土曜日の朝にうちのパーカッションのニシノから「岡部さんが亡くなられた」とのメール。その「岡部」が一体誰なのかわからず問い返してみる。さらには彼とはあまりにも親交の深いベースのビンちゃんにLINEを入れてみる。同時に現在進行形で彼とバンドを共にするアコーディオンのサチエちゃんにLINEを入れる。帰ってくる答えは同じく「そうらしい」だった。一連のメールの意味を飲み込んだら、ようやく、そして意外なほど涙が溢れた。

 

 彼とは同い年だ。あまりにも早い、そして突然の別れだった。棺桶の中のその顔はまるで少年のようなあどけなさを未だ残していて、居合わせた誰もがうまく実感を持つことが出来ないでいる様子だった。告別式に一緒に参列した中島らも夫人のミーさんが「笑ってるようだったね」と言った。

 

 

 今週のライブは彼に捧げようと思う。うちのビンちゃん、サチエちゃん、ニシノ、そして俺他、直接的間接的に少なからず彼とは親交があるから。わたるちゃん、ありがとう。安らかに。

| - |
Live !

 

 浪速のカエターノを自称するマルタニカズという人のライブイベント「マルタニカズ周辺の音楽」に出演させてもらうことになっていて、それがもう来週なのである。ちなみにそのマルタニカズ氏とはかつてバンドをやっていた時期もあり、音楽的にかなりの部分で影響を受けた俺です。あるいは矯正されたというのが正しいのかもしれないけれど。

 

 イベントではAsian Sonic Ensembleというバンドを数年ぶりに復活させる。今回のメンツは当時からは2名減って1名増え、総勢9名の比較的大所帯。その人数の多さがネックとなり身動きが取れないことも多々あって、その辺が活動を停止させた一つの原因ではあるのだけれど、それでも大人数というのはこれがとても楽しいのだ。はっきり言ってギター弾きとしてはほとんど不器用といってもいい、そんな俺にもかかわらず、とってもボーダーレスな音楽を展開してしまうのがこのバンドのチャームポイントではある。

 

 20日の晩にお時間のある大阪近郊の人は、西天満のガンツトイトイトイへどうかいらっしゃっていただきたいもの。我々の出番はおそらく20時前後です。

 

 大人数のバンドって一体感のマジックがあって俺は好きなのだ。でも大人数だと余計にバンドを運営することには四苦八苦するもの。今回もそうだけれど、そもそもリハーサルにだって全員が揃うことなんてどっちかというとまれなのだから。それにそういう物理的なこと以外に時には独裁的リーダーシップが不可欠なこともある。その辺りに疲れてしまっていたというのは否めない。

 

 それでもこの頃はやっぱり演りたいという衝動が復活しているのもまた事実。だから今回は、なるべく民主的にやることで少々責任逃れしてしまっていた反省を込め、Ants Motoki & The Asian Sonic Ensembleという名義にして責任の所在をはっきりさせることにする。今後はこのメンツでもたまにはやりたいし、それ以外にもごく少人数でAnts Motoki & The〜の名義でやることを考え始めております。

 

 というわけでイベントあったらぜひ呼んでちょうだい。

 

| - |
不死鳥

 

 ウケればしつこいというのは俺の性癖かもしれないけれど、ま、しかし、火事の災厄から10年目の次の年が酉年だったというのは何かの縁ではある。というわけでHEADZ別注の今年の干支ルアーはFire RedのFirebirdということになった。

 

 

 それにしても災厄の後もなんとかやって来れたのは、そのしつこい性癖が功を奏して(あるいは災いして)のことかもしれないなあと、改めて思う新年だ。

 

 

 Beat Kingはうちのフラッグシップ的プラグでこの別注にはふさわしい。しかも旧型の復刻版であるから重みもある。

 

 Gaucho+は意表を突いたかもしれないが、これはGauhoのスピンオフ的プラグで、両者ともに実はとても優秀なプラグであることはあまり知られていない。ちなみにテールにフックが付くプラグは津波ルアーズには非常に珍しいのです。これは速いアクションを想定して、フッキングを重視したというのがその真相。

 

 

 もちろん言わずと知れたMighty Arrow Miniもフラッグシップと言っていい。Mighty Arrowシリーズの「ただ引き」は今となってはその威力が忘れられた感がなきにしもあらずではあるけれど、今も絶大な効用があるということは間違いない。

 

 いずれにもTsunami Huntersの誇らしげなFirebirdプレートが付いてます。お求めはもちろんHead Huntersにて。

 

 

 昨夜届いた釣果はその名も還暦伊東さんからのもの。ここのところ相方は釣るものの、伊東さんは不調ということが続いていたのだけれど、ここにきて釣ってしまうところはいぶし銀の凄みと言っていい。そのしぶとさは津波ルアーズのしつこさなみか。いやいや俺も見習うべきだ。

 

 

 そんな還暦師匠に捧げるのはレディー・デイ。あえて悪声と言ってしまうけれど、それが誰をもよせつけない凄みの元だ。マイナスがプラスなのだ。ここに収められたのは彼女の絶頂期のものなのだけれど、末期のさらにヤバい声のものだって痛切が故に凄いというのは通説だ。あ、韻踏んじゃった。

| - |
Beyond The Border

 

 ファンファーレ・チォカリーアを聴きながら。Caravanとか007とかブラスバンドで演ってしまうと吹奏楽部みたいになってしまう?なんてことはこのバンドに限ってはない。実にワイルドである。有無を言わさず吹き付ける風のようだ。

 

 さて、初出荷である。Sonic Ribot DBの魚矢別注。ほんとは年末のつもりだったのだけれど、年始になってしまいました。しかし、なかなか仕上がりよく、満足のいく出来。うちのルアーにしてはシンプルで割と地味な存在ではあるものの、これにお世話になることは多々あるから持っていて損はありません。ほんとです。Sonic Ribotは初めての硬質発泡樹脂化。魚矢を通じて今週中には店頭に並ぶのではないかと思います。どうかよろしく!

 

 

 今日は今年のステッカーをデザイン。年末あたりから考えを巡らせるもアイデアはまるでなく、はてさて今回はどうしたものかと思っていたら、まさにそれは突然降って湧いた。フルカラーのフォトコラージュ。ファンファーレ・チォカリーアに負けず劣らずワイルドな、トランプもびっくりの国境風味。Beyond The Border、まさにファンファーレ・チォカリーアの風のような音楽よろしく境界を超えて行こうと、そもそも私が持っているそんなコンセプトに基づいていると言うことにしておく。

 

| - |
置いてけぼり

 

 毎年のことではあるけれど、休み明けは自動的に動き出す周囲に追いつけないでいる。今年は特に体も気持ちもひどく置いてけぼりを食らったよう。正月早々体調が優れなくて困る。

 

 今日は今年遂にリリース予定のSweepy J DBの最終カラーサンプルとボックスのサンプルが届いた。カラーサンプルはもう何度目か?それでも一点だけ修正はあったが、どうやらようやくまとまりそうだ。ただ、ボックスのサンプルは修正前のデータで印刷されていて、まるでお門違いのもの。いつものことと言えばいつものことなんだけれど、一体全体どうしてこうなるんでしょ。ミステリアス。

 

 

 昨日はコロンビアへ遠征していたスエヒロがルアーの返却と報告に。土産話はたっぷりだったものの、プロトタイプのルアーと魚の写真は下の一枚ポッキリ。あとは、一応使ってくれたらしい二つのプラグに無数の傷、そしてピーコックバスの歯の痕跡。

 

 

 ま、これでアマゾンについてはさらに色々と推し量ることもできるし、はっは〜ん、なるほどね、と合点のいくことも多々あるのだけれど、それはやはり想像は想像で、それをいくら膨らませていても仕方がなく、やっぱり俺が行くことしかこの想いを解放するすべはないようだ。

 

 

 気づいてみたらそろそろ家に帰る時間に鳴っていたのはソニー・ロリンズ。置いてけぼりを食らった休み明けには、こういうジャズを気負わず聞くのがちょうど良い。いざ構えて聴くのも良いのだけれど、こうして意識せずゆるりと聴くのも悪くない。ジャズを聴くようになってもう何年もの年月が流れたわけだから、俺にだって少しはそういう違った聴き方が出来てもいいよなあ。

 

 

| - |